僕には大好きな映画がある。今までにいったい何回見ただろうか。今でも、週末には必ず見るぐらいに大好きな作品だ。主題歌を聞いたり、映画タイトルのロゴマークを見たりすると、わくわくと胸が高鳴る。目を閉じると、まぶたの裏にロゴマークが焼きついて見えるぐらいだ。僕にとってこの映画は、もはや映画以上の代物である。
世界遺産登録を目指す動きがある長崎市の端島(通称・軍艦島)。戦前その炭鉱に徴用され、長崎原爆投下後に被災地のかたづけにあたった韓国在住の崔璋燮(チェ・チャンソプ)さん(82)が65年ぶりに島に上陸した。「世界遺産として島の本当の歴史を見つめて」。多くの観光客が訪れる島に願いを込めた。【蒲原明佳】
崔さんは市民団体の招きで来日。11日に約2時間上陸し、市の許可を得て島北部の病院前に立ち入り、廃虚と化した工員住宅を眺めた。「死と隣り合わせだった島がこんなに変わった。寂しく、悲しいような複雑な気持ち」と記憶をたぐった。
朝鮮半島南部の益山(イクサン)に暮らしていた1943年2月徴用された。14歳だった。妹と駅まで見送りに来た母が深々と頭を下げ、息子の無事を祈る姿に「涙が出ました」。
汽車と船を乗り継ぎ端島にたどり着いた。朝鮮人の住まいは、工員住宅の地下。3交代で1日12時間、深く狭く息苦しい炭坑で、ふんどし1枚でつるはしを振るった。食事は1日2回、豆かすのおにぎり。労働の後、そびえ立つ防波堤に寝転び、けいれんする筋肉を海風で冷やした。四方は海。逃げようにも逃げられない。筏(いかだ)を組んで“脱出”を試みた仲間7人は、あえなく捕まり、ムチで打たれた。「人生、どうしてこうなったのか」。自殺を何度も考えた。
45年8月9日。非番で自室にいると稲光のような光が10秒ほど続き、窓ガラスが割れた。市街を見ると海も山も赤く染まっていた。「♪若い血潮の予科練の−−」。島の子供たちはそれでも軍歌を歌っていた。
終戦。炭坑長が悔し涙を流しながらも優しい言葉をかけた。「皆さんは故郷に帰れるから安心してください」。18日、多くの朝鮮人が被爆した長崎市街のがれき撤去にかり出された。帰郷したのは11月中旬だった。
09年に「九州・山口の近代化産業遺産群」の一部として、世界遺産国内暫定リスト入りした端島。崔さんは「登録を目指すことは否定しない」と話す。そしてこう続けた。「世界遺産にすることは、本当の歴史をそのまま表現する場所でなくてはいけない。ここに生きた人の人生をなかったことにしないで」
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奈良市の奈良公園内にある東大寺境内で、参道と芝生の境にある柵の鎖をかじる鹿の姿が観光客の注目を集めている。金属製の鎖をあごでしっかりくわえ、ゴリゴリと音をさせてかじる姿は、まるで食べているかのよう。このエリアだけで見られるといい、専門家も謎の行動に首をひねっている。【花澤茂人】
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鎖をかじる鹿が見られるのは、大仏殿から南にまっすぐ延びる参道の真ん中あたり。南大門や本坊がある周辺だ。東大寺参拝のメーンストリートとして観光客が歩き、多くの鹿が頭を下げて鹿せんべいをねだる。
昼ごろ本坊前に行ってみると、鹿が5頭ほどいた。柵の鎖は高さ約40センチ。1頭の鹿が柵に近づくと、鎖はちょうど顔の高さにある。鹿はフンフンと鎖のにおいをかいだかと思うと、おもむろにかじりついた。よく見ると、他にも鎖をかじっている鹿がいる。すぐにやめて、またかじる鹿もいれば、1分ほど延々とかじり続ける鹿もいる。「鉄分不足ちゃうか」という観光客。外国人からは「アー・ユー・ハングリー?」などと声がかかる。
奈良公園で鹿の保護活動をする「奈良の鹿愛護会」が、鎖をかじる行動に気付いたのは03年。写真コンテストの応募作品にあるのを見つけた。子供のころから東大寺にいる狹川宗玄長老(90)は「昔から見かける。一種の食料みたいなものかなと思っていた」と話しており、相当古くからの行動らしい。
ただし愛護会によると鎖は奈良公園内の他の場所にもあるのに、かじるのは南大門、本坊の周辺で行動する群れだけ。同公園の鹿約1100頭のうち、わずか10頭程度とみられる。季節や性別は問わず、親鹿も子鹿もかじる。
同会の池田佐知子事務局長は「同じ群れの中で、鎖をかじることを教え合っているのだろう。代々受け継がれているのは、鹿にとって必要な行動だからではないか。確かなことは鹿に聞かないと分からない」と首をかしげる。同会の獣医師、吉岡豊さんは「栄養バランスが崩れるとミネラル補給のため、土をなめることはあるが、特定の鹿だけが鉄分不足とは考えづらい。何かのきっかけで鎖をかじり、癖になったのだろう」と分析する。
天王寺動物園(大阪市天王寺区)の今西隆和・飼育係長は「牛などが鉄分補給のため牛舎のクギをなめたりすることはあるが、鹿は初めて聞いた。鉄分不足か、感触が面白いからかもしれない」と話している。
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